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お恥ずかしい話ですが、足の裏のイボがこれ程治り難いものであるとは開業して初めて知りました。勤務医時代と異なり初診時から完治に至るまで1人の患者さんを1人で継続的に治療してみて初めて実感したということです。
液体窒素による凍結療法が標準治療であることは間違いの無いところですが、それのみでは中々治りにくいケースがあることも確かです。当院では経過が長びく場合ヨクイニンなどの内服はもちろん各種外用剤、レーザー、抗腫瘍剤および局所免疫療法を併用療法として積極的に取り入れ少し大げさですが集学的に対応することにより治療成績の向上に努めています。
各地に「イボとり地蔵」があることからも分かるように、昔からイボの暗示療法の有効性も唱えられています。「少し時間はかかるかもしれないけれど、いずれは治るんだよね」、「治るとも」といったゆったりとした前向きな気持ちを持つことはとても大切です。
小児の場合、ウオノメ(鶏眼)と思って放置していたケースが多いのですが小児にウオノメができることは極めて稀です。ある程度の大きさになると、極端に治りにくくなる印象があります。たかがイボ、されどイボ。早めの受診をお薦めします。
自然に治ることもありますが、あれよあれよと言う間に増えてしまい収集のつかなくなってしまう場合もあります。実際、適切に対応できず青くなった母親に連れられて来院されるケースも結構あります。
当院では、「当院で予めお渡しした麻酔のテープ」を貼っていただいてからピンセットで一つ一つ摘除することにしています。この15年間あらゆる方法を試みてみましたが、この方法が一番確実であると今のところ考えています。
また、水イボは取ってしまえばそれで良しとするのではなく水イボが増えてしまった原因を考える必要があります。水イボは圧倒的に乾燥肌の子供に多いですから、保湿に留意し皮膚を常に良い状態に保つことは摘除以上に大変重要なポイントです。
「明日からプールなので今日中に全部取ってください。」と迫るお母さんも時々おられます。どんどん増えてくる水イボにあせってしまう気持ちも分かりますが、相手が幼児である以上たくさんの水イボを一度に摘除するというのは現実的ではありません。
きちんとした保湿ケアを継続しながら、少ないうちに、大きいものから、少しずつとっていく、それも痛い思いをすることなく、これを原則としたいところです。
ちょっと変な話ですが、皮膚が内臓であったなら話は幾分簡単であったかもしれません。体の表面にあるという理由でアトピー性皮膚炎はアレルギーのみでは説明のできない複雑なものになっている気がします。直接見ることも、さわることもでき、さらに正確に薬を塗ることもできる一方でハウスダストなどのアレルゲンや引っかきこわしなどの外的刺激を受けやすいという望ましくない側面をも併せもっているからです。
アトピー性皮膚炎は体質が関わっている面もあるので、喘息と同じように「コントロールの病気である」という認識をお持ちいただく必要があります。怪我や風邪のように一度の治療で全快という訳にはまいりません。せっかく真面目に治療しても症状が楽になると、安心しきってしまい放置。当然しばらくしてからフレアー(急性増悪)を起こして飛び込んでこられる患者さんがやや多い印象があります。
皮膚科における治療の柱は、ステロイドおよびタクロリムスといった炎症を抑えるぬり薬、抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤などののみ薬、皮膚を良い状態に保つための保湿剤などとなります。まずは科学的根拠のある、かたよりのないオーソドックスな治療を行うことが最も大切だと考えております。本筋と傍流の治療が逆転した本末転倒は是非とも避けなければなりません。どんな薬にも良い面と悪い面が必ず存在します。完璧を求めるのではなく、薬の持つよい所を「いいとこどり」していけばよいのだと思います。ステロイドにしてもタクロリムスにしても、悪い作用をできるだけ抑制しつつ、よい作用を効率よく引き出していくことについて日本皮膚科学会認定皮膚科専門医には十分な経験があります。このような薬を上手に用いることにより病勢を抑制し続け寛解(一時的であれ、永続的であれ症状の軽減した状態)に導くことがアレルギーが関与する疾患の治療における原則ではあります。同時に、アトピー性皮膚炎の治療をこのような薬にだけ頼りきるのではなく、その原因や増悪因子をできるだけ明らかにして、それらを除く努力や、皮膚を良い状態に保持するためのスキンケアを併用するなど個々のケースに即応したきめ細やかな対応をしていくことが大切だと思います。
最近、少し気になるのは、アトピー性皮膚炎の患者さんには生真面目で仕事などに没頭し、夜を徹して一生懸命働いておられる方が比較的多いことです。そのこと自体はある面とても素晴らしいのですが、結果的にストレスを溜め込み掻破行為などにより病勢の増悪を呼び込んでいるケースが目立つのです。完璧を求め過ぎることなく、「まぁ、良しとするか」といった心の余裕を持つこともストレスの軽減につながるのではないかと思うことがよくあります。
意外に思われるかもしれませんが、視診だけで水虫の診断はできませんので診断確定のためには顕微鏡による検査が不可欠です。特に爪水虫の治療では、パルス療法にしろ継続療法にしろのみ薬を選択することになりますので顕微鏡検査による正確な診断がなお一層求められることになります。つまり、(1)目でチラッと見られただけで(視診?) (2)「水虫ですね」、あるいは「爪水虫ですね」と告げられ(診断?) (3)水虫の薬(抗真菌薬)が処方される(投与) という診療の流れはあり得ないことになります。
当院では、初診時はもちろん再診時にもできる限りこまめな顕微鏡検査を心がけていますが、予想を裏切る結果にいまだに驚くことがあります。「水虫でないものに水虫の薬を塗る」、逆に「水虫にステロイド軟膏をつける」といった不適切な治療が原因と考えられる医原性の病態を時に目にします。カビだけでなく、細菌感染やカブレなどが複雑に絡み合った皮膚病変をその時々に正しく判断し望ましい方向に導いていくのに結構骨が折れることもあります。頻回の顕微鏡検査、こまめなパッチテスト、ぬり薬、時にのみ薬の適切な選択など皮膚科の基礎的な診療テクニックが求められることになります。
ここ数年の間に、爪水虫を含む水虫の治療は格段に進歩しきちんと指示通り治療していただければ完治は十分に可能です。そのポイントは以下のようなごく当たり前の事項です。(1)爪水虫はのみ薬で確実に治すこと。(カビ貯蔵庫の廃絶) (2)水虫の場合、ぬり薬は最低1ヶ月間ぬり続けること。理想的には、カビの活動が弱くなる冬期に一冬塗り続けること。(持続感染の根絶) (3)水虫家族の場合は、みんな仲良く一緒に治すこと。(家族内感染の回避) (4)プール、浴場、サウナなど公共の施設から帰宅した後は、もう一度足を洗いなおすこと。(再感染の予防)
思春期には、誰もが一度は経験するニキビですが皮膚科では「皮膚の病気」としてとらえています。ニキビは必ずしも10代の病気ではなく「もうニキビの出る年頃でもないのに出てしまった」いわゆる大人のニキビ(思春期後ざ瘡)が最近増えてきている印象があります。忙しく働く女性の患者さんが多く口囲や下顎および頸部に分布する傾向がみられます。このタイプのニキビは中々手強く、ストレス、不規則な生活、偏った食事、睡眠不足などが引き起こすホルモンのアンバランスの影響が大きいと考えられています。
このようなニキビを放置した場合、赤みのとれないニキビ跡や、ひどい場合にはアクネクレーター(皮膚の陥凹)、アクネケロイド(皮膚の盛り上がり)として残り将来に悔いを残しかねず速やかな対応が必要となります。
最近、レチノール様の効果を持つディフェリンゲル(アダパレン)が保険適用されたことにより皮膚科でのニキビ治療が大きく変わりました。ニキビの初期段階である小さな毛穴のつまり(微小面庖)や白色面庖・黒色面庖に対しても有効で炎症を起こした赤いニキビに進展することを防止します。ニキビを軽くはがして新しい皮膚に置き換えていくイメージの薬なので塗り始めの時期に乾燥・ヒリヒリ感・赤み・かゆみなどが副作用として生じるケースは比較的多いのですが、塗り続けていくうちにそれらの症状はしだいに和らいでいくのが普通です。このような薬の性質を十分に理解した上で上手に用いることができれば、従来の皮膚科でのニキビ治療とは異なる優れた効果を実感できると思います。
又、これとは別のアプローチとして注目されているものにビタミンC誘導体があります。ビタミンCのもつ抗酸化作用により活性酸素を除去し炎症の沈静化を狙ったものです。さらに皮膚の代謝の促進、コラーゲンの合成促進、皮脂分泌の抑制効果なども期待されています。特に、皮膚への浸透性を高めるように工夫された製品(APPS、APPS・APS、APPS-E、APPS-EFなど、E:ビタミンE、F:フラーレン)も開発されてきており当院においても対応可能です。
微小面庖や面庖に対してはディフェリンゲルを、炎症を起こした赤いニキビには同剤の他、抗生剤の内服・外用、面疱圧出などのオーソドックスな治療を行い臨床経過によってはケミカルピーリング、過酸化ベンゾイル外用なども取り入れ遷延化を防ぎます。従来、余り良い治療法の無かったしつこいニキビ跡や皮膚の陥凹(アクネクレーター)などに対して当院では光・レーザー治療などの新しい治療法を積極的に取り入れ改善をめざしています。
「ありふれた皮膚病を正確に診断して速やかに治すこと」が私の主な仕事です。しかし、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の仕事はもちろんそれだけではありません。
当院は皮膚科診療所としては、取り立てて来患数の多い方ではありませんが、開業以来
といった早期に診断し、速やかに治療すべき疾患も経験しています。
皮膚疾患の場合、臨床像を直接見ることができ、実際に触れることもできるので安易に取り扱えるように思いがちですが「簡単そうに見えて中々一筋縄ではいかないなぁ」というのが20年に亘り第一線で診療してきた皮膚科臨床医師としての実感です。一つの皮疹が異なる色々の原因で起こったり、逆に一つの病因が種々の皮疹を呈したりします。さらにそれらの皮疹が驚くほど刻々と変化する場合もあります。とはいえ、皮疹は生体反応の一表現であり丁寧に診察すれば、多くの情報を得ることができ診断確定につながる可能性はあります。診察だけで結論がでない場合、皮膚の一部を採取して組織を顕微鏡で調べること(生検)も皮膚科医師の大切な仕事のひとつです。
広範多岐に亘る皮膚疾患を正確に診断し適切に治療するのは「陽傾いて、なお道遠し」の感がありますが、より望ましい方向への道しるべをつけることは可能ではないかと自負しています。皮膚に関することで、お困りの方、気になる点がございましたら是非一度、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医にご相談ください。