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もとより老化(aging)は自然の摂理ではありますが、特に皮膚の場合、体表に位置するために内面からくる加齢的変化に加えて長年紫外線を受けたことによる光老化(photoaging)の占める割合が大きいと考えられています。そうであれば、これからでもサンスクリーン剤などを上手に用いて紫外線対策をしっかり行えば光老化を先送りできる可能性があるとも言えます。特に人は18歳までに紫外線の生涯曝露量の50%以上を浴びてしまうと言われていますので、これからは子供の頃からの紫外線対策が重要視されてくると思います。
それはともかく、既にできてしまった皮膚の老人性変化(シミ、シワ・タルミ、毛細血管拡張症、毛穴の拡大、脂漏性角化症・スキンタッグ・老人性血管腫・静脈湖などの腫瘍性変化など)にはどのように対応するか?当院では各種外用剤(ハイドロキノン・レチノール・APPSなどの活性型ビタミンCローション・リノール酸Sなど)に加えて現在のところ10種類の光・レーザー・RF機器を駆使してこれら老化に伴う皮膚の多様なトラブルに総合的に対処することが可能です。
シミの代表格である老人性色素斑の治療を例にとってもQスイッチレーザーで確実に除去するもよし、またフォトブライトで周囲に気づかれることなくいつの間にか目立たなくなっているのをめざしてもよし、はたまた両者を併用するもよし、その選択の巾を提供することができます。
フォトブライトとレーザーフェイシャルとを組み合わせることにより、皮膚の浅い層(表皮)に生じたシミに代表される老人性変化と皮膚の深い層(真皮)に生じたシワ、タルミ、毛細血管拡張症などを同時に改善させていくことも可能となりました。つまり、皮膚の土台作り(再構築)をしつつ肌の表面にも磨きをかけて輝かせる(brighten)という訳です。ともにカサブタができたりすることは無いダウンタイムフリーの治療法で、通常の生活が制限されることはありません。
シミ(老人性色素斑、肝斑など)、シワ・タルミ、赤ら顔・毛細血管拡張症、その他の加齢に伴う皮膚症状[脂漏性角化症、老人性血管腫・静脈湖、スキンタッグ、老人性脂腺増殖症、開大毛孔、(中高年深在性)ミリウム、色素性母斑]について、私のクリニックで可能な特徴ある治療法についてまとめてみました。
レーザーや光線でメラニンを破壊することにより、又メラニンを生成抑制・排泄促進する塗り薬を効果的に用いてシミの無い透明感のある皮膚へと導いていきます。
人に気づかれることなく、徐々に改善していくことをめざすのであればフォトブライトを、カサブタができたり炎症後色素沈着が生じたりしても許すから1回で確実に取りたいというのであればQスイッチレーザーを選択することになります。形状的には、500円玉のような一塊としてあるシミにはQスイッチレーザーを、ソバカスやソバカスのような細かい色素斑が多数散在しているような場合はフォトブライトをお薦めできます。
肝斑については、レーザー治療は不適切あるいは禁忌とも考えられておりのみ薬およびぬり薬による治療が基本となります。
★選択可能なアプローチ★
レーザーや光線で線維芽細胞(コラーゲンをつくる細胞)を活性化することにより皮膚の深い部分(真皮)の膠原線維の量を増加させてシワやタルミを改善させていきます。ロングパルスYAGレーザーでは、冷却装置(DCD)を稼動させてレーザー光をしっかり照射させていただくレーザーフェイシャルAと4000~5000発のレーザー光(Aよりも弱め)のシャワーを浴びていただくレーザーフェイシャルB(痛みはありません)とを選択することが可能です。又、フォトブライトではシミなどを改善するだけではなくコラーゲンの増生を導き肌の質感やハリの無さを取り戻すことも見込めます。さらにインフィニでは、皮膚表面からフラクショナルにRF(高周波)を照射する方法(SFR)やマイクロニードルを皮膚に刺入した上で皮膚の深部に照射する方法(MFR)などを選択することができます。自己の再生能力に期待した治療法のため繰り返しの照射と改善するまでにある程度の時間(数カ月以上)がかかります。
ヒアルロン酸を注入してシワを盛り上げて目立たなくすることもできます。即効性はありますが、当然のことながら一定期間後(通常6カ月程度)再処置の必要があります。効果は限定的ですが、レチノールや活性型ビタミンCローション(特にAPPSなど)の外用も有効です。
★選択可能なアプローチ★
皮膚の深い部分(真皮)の毛細血管が拡張した状態で、通常「赤ら顔」と呼称されるものです。その代表格が酒さで、病因の一つとして光老化との関わりも考えられています。レーザーや光線を照射し拡張した毛細血管をつぶすなど、ボーとした赤み(血管が微細で不明瞭な毛細血管拡張症)を改善していきます。前者は十分なエネルギーが加えられれば劇的に改善しますが、後者に関しては幾分低めの条件で繰り返し照射することにより徐々に目立たなくしていくという治療の流れとなります。メトロニダゾール配合親水軟膏やビタミンE誘導体配合ローションも、有効例があり試みてみる価値はあると思います。
★選択可能なアプローチ★
◇脂漏性角化症(老人性疣贅)
◇老人性血管腫・静脈湖
◇スキンタッグ(老人性軟疣)
◇老人性脂腺増殖症
◇開大毛孔(毛穴の開大)
◇(中高年深在性)ミリウム
◇色素性母斑